前回からやや進み
ーーー令和4年 5月ーーー
委員会の活動を通じ少しずつ皆さんと話せるようになってきた『神広美くん』。
そんな彼を元請け会社さんから取り扱ったことのない商材の見積依頼という試練が襲います。
「『神広美くん』○○○って知ってる？ 分からないよねー困ったな・・・。」
元請けさんの何気ない一言にスイッチが入る『神広美くん』
「来週半ば頃までお時間頂けます？」そう言って電話を切ります。
この電話の翌日は神広美理事会です。
そして理事会終了後になんとなく印刷系が強いと耳にしていた理事さんに事情を話し図面を見ていただくと即座に「うちでできますよ！」と。
それから簡単にその商材の説明を受け担当者さんを紹介され週明けには製作図面とお見積りを頂けることに。
早速、元請けさんに伝えると話はトントン拍子に進み数日後には発注書が送られ製作確定です。
以前の『神広美くん』であれば元請けさんから相談されても「そうですね・・・聞いたことないですね。」となっていたと思います。
この時、「分からないことは聞けばいいんだ。だって神広美って看板に関わる人の集団なんだし！！」
そう思えた瞬間に今まで仕事に対する不安や孤独感で押しつぶされそうだった気持ちが少し楽になりました。
依頼した製品を引き取りに行く際に工場見学をさせていただけることなりました。そして当日、伺うと見たことのないマシン類や規模に圧倒されている『神広美くん』のために時間を割いて機器の説明や工法をじっくりと解説していただきました。
ショールームでは『神広美くん』知らなかった商材の可能性を追求した試作品などが並び仕事を忘れ見入ってしまいました。
いろいろとお話をする中で「『神広美くん』は理事会に車で来てすぐ帰っちゃうからさー、今度は電車で来なよ。コロナが落ち着いていれば、ちょっと飲んで帰る人もいるから。」
そう言ってもらえたことは正直とても嬉しかったです。この際、『神広美くん』が社交辞令という言葉を知らないのでは？という疑念はとりあえず置いておきましょう。この理事さんが『メモメモ提督』としてお仲間増やし活動で針路に自信が持てない『神広美くん』を後押しし沈没・座礁しないよう適宜方向性を示してくれる提督役となってくれるとは予想もできませんでした。
無事に製品を納品設置し元請け会社さんやお客様に大変喜んでいただけた時、自分の力だけじゃダメだと思ったのと同時に今まで“同業他社”“どうせ大きな会社ばかりと”知らない間に壁を作っていた自分が馬鹿らしくなりました。
『自社で対応できないことでも、それができる人たちがたくさんいる。』
それってものすごく恵まれた環境なのでは？？
『神広美くん』はこの経験を通じて長年にわたり先代が幽霊会員であったことを“もったいない”と感じるようになりました。
納品時の先方の様子等をご報告をするため、この時に開催された理事会へは車ではなく電車で行くことにしました。
終了後、「車じゃないなら一緒に行こうよ！」と誘っていただき駅前の居酒屋さんへ向かいます。
この時の電車組は俗に言われる“重鎮”の皆様。
『神広美くん』はその場違い感に挙動不審モード突入です。
年齢は多くは親世代かそれ以上・・・基本的に飲みにいかない『神広美くん』緊張しない訳がありません。
それを察してか温かく迎えていただいた諸先輩方には感謝でしかありません。
それから機会があれば帰りの集会に参加をするようになり今までなかなかお話をできなかった方ともお話ができ同業者ならではの話や様々な経験談を聞くことができました。
考えてみれば『神広美くん』は同業者の方と飲んで話すということをしたことがなく将来への不安や孤立感を自分が思っていた以上に募らせていたのかもしれません。
この場で指摘をされたことや様々な言葉は自分でも不思議なくらい胸にしみました。
この時、「みんなに会えて飲んで話してるのが楽しい!! あ、仕事の話もたまにするよ！」（第2回参照）といういつぞやの『ジロー先生』の言葉が脳裏をかすめました。
この言葉と体験のリンクが今後の『神広美くん』のお仲間作りの道へつながっていくとはこの時は誰も気が付いてはいない石川町の夜なのでした・・・。
